先日、映画『窓ぎわのトットちゃん』を観てきました。母が行きたいと言うのでついて行った感じでしたが、とても良かったので記録しておきます。
※ネタバレになってしまうので、見たくない方は御遠慮ください。
窓ぎわのトットちゃん
退学からの始まり
『トットちゃん』の本は子どもの頃に読んだことがあったので、どのようなお話なのか大まかには頭に入っていました。ただ、映像で観るとより感情移入しやすくなり、初めて気づくことも多くありました。
著者はご存知、黒柳徹子さん。今でも現役でご活躍されていますが、大変個性的な方ですよね。幼い頃から奔放な性格で周りの大人たちを困らせてきたようです。
授業中に何度も大きな音を立てたり、周りの子を巻き込んで『ちんどんやさん』を窓から見たりということが重なり、結局小学校を退学になってしまうのです。
リトミックってなに?
そんなトットちゃんの転入先はトモエ学園という小学校でした。校長先生は生徒ひとりひとりの個性を大切にするとても素晴らしい方です。以前読んだ時には気づきませんでしたが、こちらの校長先生こと小林宗作さんは、日本で初めてリトミックを幼児教育に導入された方なんですね。
恥ずかしながらリトミックは普通の音楽の授業と何が違うのかよくわからず、姪っ子がリトミックをやっていた時も「リトミックって何?」と内心思っていましたが、特に深く聞くこともしてきませんでした。
帰ってから本を読み返してみようと思ったら、もう捨ててしまったのか家にはありませんでした💦なので、急遽購入。すると、ありました!リトミックについて書かれている部分が!当時はリトミックという言葉が分からなかったので読み飛ばしていたのでしょう。
小林先生は、外国では子供の教育をどんなふうにやっているのかを見るためにヨーロッパへ渡り、そこでリトミックに出会ったそうです。
リトミックとは「体と心にリズムを理解させることから始まり、精神と肉体との調和を助け、やがては想像力を醒まし、創造力を発達させるようになればいい」という考えのもの。
要するに、単に耳で聴く音楽ではなく、もっと人間の根っこの部分を引き出していく音楽なのですね。
勉強が早く終わったら午後からお散歩?!
小林先生は、子どもたちの生まれつき持っている素質を、どう周りの大人たちが損なわないで、大きくしてやれるか、ということをいつも考えていたそうです。
そのことは今回の映画でも本を読み返してみてもひしひしと感じました。
まず時間割がないことがすごい!
朝、先生がその日一日におこなう課題を科目ごとに書き、生徒は好きなものからとりかかる。
国語がやりたければ国語からとか、あえて時間の読みにくい苦手な科目から潰していくなど順序は様々。とにかく黒板に書いてあることが帰るまでにすべて終わればいいので、その過程は子どもにお任せ。これはとても素晴らしいことだと思います。
1時間目は算数、と決まっていると、ついていける子、いけない子、物足りない子がでてきてしまいます。こうなるとその決められた時間が余って退屈してしまう子も居れば、分からな過ぎて諦める子もでてくると思います。それは本人たちにとって苦痛な時間です。
しかし、時間割がないと「どうやって進めれば効率よく全部おわるかな?」と自然と自分で段取りを考えられる子に育っていくと思います。そしてこの段取りを考えられるという習慣は大人になっても強みになります。
全員がはやく終わったらそのあとは自由時間。みんなでお散歩に行ったりします。そういうご褒美も子どものやる気を呼び起こしますよね。
コンプレックスを持たせない
小林先生は体に障害のある子にコンプレックスを持たせないような工夫を常に考えていたそうです。お話の中で背が伸びない体質の子がでてくるのですが、その子が運動会で一位になれる種目を考えたり、体の違いは恥ずかしいことではないと全員で裸でプールに入ったりしていました。(←今はできなそうですけどね)
トットちゃんも小児マヒのある子をなんとか木に登らせていましたが、仲間はずれにするのではなくみんなで一緒にできる方法を考える環境がトモエ学園にはあったと思います。
障害があるからダメとかできないとか、本人より先に周りが決めつけてしまうと、それが本人のコンプレックスになってしまいます。
私も場面緘黙なので、周りに喋らない人だと認識されてしまうと、もうそこから先へ進みにくいんですよね。喋らなくていい環境を作るよりも、どうやって喋らそうかを一緒に考えてもらえるような環境があったら違っていたのでしょうか。
トモエ学園、いい学校です。
余談…
トモエ学園が自由が丘だということも今回初認識しました。(本当に昔読んだのか、私…)
私事ですが昔祖父の家が自由が丘にあったので、巻末で徹子さんがトモエ学園は昔、ピーコック(今はもうありません)の場所にあったと書かれていて驚きました。父は徹子さんの5歳下にあたるので当時赤ちゃんでしたが、父の兄姉や祖父母はもしかしたらどこかでトットちゃんに会っていたかもしれません。
こちらのサイトも参考になさってください→ かんもくネット
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